在宅ワークにオススメ(したい)オシャレなオフィスチェア10選 バーテブラ03

「Vertebra03(バーテブラ03)」(イトーキ)

バーテブラ03

バーテブラ03は、イトーキが2019年11月から、ワークスタイルが多様化する現代に向けて、自然と正しい着座姿勢に導くメカニズムを持つという新たなワークチェアとして発売したライトタスクチェアです。

同チェアの歴史は、1981年に遡ります。その年、イトーキはラテン語で「脊髄」の名を持つワークチェア「Vertebra(バーテブラ)」(初代モデル:筆者〈山人〉注)を発売しました。世界的なデザイナーというエミリオ・アンバス氏と当時のパートナーが設計し、オランダのオープンアーク社との技術提携によって誕生した同プロジェクトのコンセプトは「人間優先のオフィスチェア」だったといいます。身体の動きに合わせて、柔軟に脊髄をサポートする背もたれ、前傾機能を装備したシートなど、人間工学と生体力学に基づく先進の機能が搭載されたバーテブラは、当時まだビニール張りのチェアが主流だった日本のオフィスに、快適性とデザイン性という新しい価値観をもたらしたとしています。

同社によると、「人生100年時代」といわれる現代で、働き方改革によって、ICTを活用したテレワークやデュアルワークが振興されるなど、ワークスタイルの多様化が進む中、オフィスに求められる役割や機能は刻一刻と変化しているといいます。また、ワークライフバランスという言葉がもてはやされる一方、あえて仕事と暮らしの境界線を設けることなく、その調和を目指すような生き方を選択する人も現れ始めているとしています。

バーテブラの初代モデルから38年後。イトーキが働く環境や人々の意識の変化に応えるために、プロダクトデザイナーに柴田文江氏を迎え、あらためてオフィスファニチャーを見つめ直し2019年に発売したライトタスクチェアが「wertebra03(バーテブラ03)」です。目指したのは、旧来の文脈とは異なるこれからの時代の自由な働き方に呼応するオフィスファニチャーだといいます。こうした思いと発想から、「働く」と「暮らす」を越境するワークチェア「バーテブラ03」は生まれたとしています。

特徴

デザインの好みやワークスタイルに合わせて選べるという4本脚タイプと5本脚タイプの2タイプがあります。


そのなかで
ロッキングと座の回転機構を兼ね備え、立ち座りのしやすい4本回転脚タイプとキャスター付で座の上下昇降も可能、多様な着座姿勢に対応できる5本脚タイプの共通の特徴として以下があります。
① 背のロッキング機構
背に持たれると肘と背の取付部の2つの支点で傾き、無操作で合計25°まで傾くといいます。
② 座のスライド機構
座面が前方へ最大30㎜スライド。後傾しても安定感があり、狭い場所でも後方スペースを確保できるといいます。
③ 座の前傾機能
前傾姿勢をとると座面の前縁部が最大10°たわみ大腿部の圧迫を軽減させるとしています。
④ 回転機構
座面が回転するため、座ったままで身体の向きを自在に変えることができ、快適な立ち座りを実現するといいます。
⑤ 手元で簡単昇降
座った状態で、右肘先端のダイヤルを回転することにより、体格に合った座面の高さに調節することができるとしています。
⑥ 三次元形状の座面
底突き感の少ない座面形状。3次元形状が座る人を正しい着座位置へ誘導するといいます。

4つの姿勢

  1. 前傾
    前傾姿勢をとると座面の前縁部が最大10°たわみながら傾斜するといいます。ノートPCや筆記作業時の大腿部の圧迫感を軽減させるとしています。
  2. 直立
    ノーマルポジションでは常に背もたれが腰部を支え、短時間の作業、ノートPC作業をサポートするといいます。
  3. 背にもたれると座面が前方にスライドし、肘を支店として最大10°傾きます。背もたれに体重をあずけたノートPC作業や会話に適しているとしています。
  4. ストレッチ
    背もたれの取付部を支点にしてさらに15°傾き、腰部を中心としたストレッチができるといいます。

ラインアップ

5本脚、4本固定脚スチールタイプ、4本固定脚木タイプ、4本回転脚スチールタイプ、4本回転脚木タイプ

受賞歴

DESIGN INTELLIGENCE AWARD (HONORABLE MENTION)受賞(中国)
シカゴ・グッドデザイン賞2020 受賞(米国)
GOOD DESIGN AWARD(2020年グッドデザイン・ベスト100受賞)
JIDAデザインミュージアムセレクションvol.22
グリーンガード認証

カラー

フレーム/脚カラー

ブラック、チェスナットブラウン、ペールオリーブ、ダークグリーン


木部カラー
オークライト、オークダーク


張地カラー
布地(SD):ダークグレー、ディープオレンジ、トープブラウン、アンバー、リーフグリーン、ミッドナイトブルー、グレイッシュパープル
布地(CD):オフブラック、グレー、エクリュベージュ、ディープイエロー、ダークオリーブ、ダックブルー、プラムパープル
その他、KnollTextilesの張地も使用可能

価格(メーカーカタログ価格、税別)

5本脚キャスタータイプ、SD張地が91900円
4本固定脚スチールタイプ、CD張地が87200円
4本固定脚木タイプ木色SD張地が131000円
4本回転脚スチールタイプCD張地が93200円
4本回転脚木タイプ木色オークライトSD張地が137000円 
など

山人のオススメポイント

バーテブラ03は、一見かわいくて、シンプルでオシャレなチェアですが、その内容についてはとにかく読み取れる情報が多いと思います。ライフ、ワーク、リビング、インテリア、デザイン、アート、ファッションなど、すべての要素を包含したデザインとそれらを発揮するしっかりとした機能をもっていると思います。

機能や座り心地もさることながら「読みで(読み応え)」のあるイスであるといえるのではないかと思います。

予想を超える進化

バーテブラ03が発表される前から、山人(管理人、筆者)は、漠然とですが、バーテブラの復刻はあるだろうと思っていました(というか期待していました)。山人自身15年程、仕事場において初代の古いバーテブラに座っていたからです。初代のバーテブラは300万台とも言われる日本のオフィスチェアの金字塔ともいえる記録的な売り上げ実績をつくったことでも知られている伝説的なチェアでもありました。すでに生産はされていなかったと思いますが、古くなったそのチェアに1日10時間以上15年間(もちろん休みもありますが)、座っていても、全く腰痛など感じたことはありませんでした。むしろ腰をしっかりとサポートし、それから上には何もないので肩が自由に動きその分楽に上半身が動かせたことがよかったのかもしれません。
そのバーテブラが3代目となり、バーテブラ03となって2019年にデザイナーである柴田氏のデザインスタジオエスで記者発表された時は山人も取材にお伺いさせていただきました。その姿は初代の面影を残してはいるものの、当たり前ですが、山人の予想を遙かに超えた素晴らしいものであったと思います。これはいま感じていることですが、いままでのオフィスチェアの進化の概念を超え、柴田氏の言葉を借りれば「生きるように働く」という言葉をそのままカタチにすることを高い次元で実現したものであったように思います。

加えて、バーテブラ03には初代の大きな成功があります。バーテブラのイメージを引き継ぎながら、それを損なわず、さらに素晴らしいものにするなどというとてつもなく困難な仕事を柴田氏とイトーキの開発陣はクリアしたということなのだと思います。その目指したものは非常に豊かなものだと思います。グッドデザイン賞の審査委員長までつとめられた日本を代表するインダストリアルデザイナーには、山人がいうのもおこがましいですが、それが当然のことなのかもしれません。一見、普通のワークチェアの進化とは別の方向にあるように思えますが、柴田氏にとってはそれが正常の進化だったのかもしれません。

魅力のあるパーソナルなスペース

座り心地については、最初にしっかりとした姿勢をとらせてくれます。これは在宅においてもワークを前提としているからだと思います。座面の後ろのくぼみは大きなポイントで、まずそこでお尻を正確にとらえ安定させてくれます。それから背にもたれてその姿勢をとらせてくれるのです。そこからさらに、肘をおいて身を委ねることができ、これで完全にこのイスに馴染み、一体化することができると思います。

イトーキの行ったインタビューにおいて柴田氏は「(初代の:筆者〈山人〉注)肘掛けタイプにはパーソナルなスペースも確保されている」と述べられていますが、このパーソナルなスペースをいかにつくっているかがそのイスの大きな特長であり、個性であり価値であるといえるのではないかと思います。これを機能的に感じ仕事によい影響を与えることに加え、その座り心地を味わえることがレベルの高いといわれるイスそれぞれが持つ大きな魅力だと思います。イスを味わう要素は背と座だけではないということも付け加えておきたいと思います。
このパーソナルスペースがあたえてくれる「個」のイメージこそが、ライフであり、リビングであり、ワークであり、オシャレということなのだと思います。
座面と背とそれを支える機構を持ったパイプと脚だけによってこれだけのものを実現してくれるのです。ここまでがまず、最初に座ったときの姿勢の話です。

右肘先端のダイヤルにも注目

そこから、各種の、調整し、動き、止まり、ストレッチし、という動きの要素が始まります。
それらは、楽ではあるものの楽の要素だけではなく生きるように働くということを忘れないどこかストイックな姿勢を残してあるようにも感じます。
そのなかで、座のスライド機構、前傾姿勢もさることながら、座の上下機構で使用する右肘先端のダイヤルにも注目してほしいと思います。このダイヤルは、イスとして基本的な機構を備えながらよりシンプルなデザインを実現するために、そしてなおかつ手元でのスマートな操作性を実現しています。「機構のために機能するデザイン」と述べていますが、それを生かすことがデザイナーの力でもあり、それを開発・提案できるイトーキの力でもあるといえるのではないでしょうか。

奥深いカラー展開

さらにデザイナーの意識はそれだけにとどまりません。同インタビューにおいて柴田氏は「最近のオフィスはもっと有機的だから、まず本体自体の色を見直さなくてはだめ」としています。
オフィスの過去と現在を冷静に分析し、そのなかの大きな要素である色に対する意識もすでにできあがっています。バーテブラ03においてCMFなどはすでに常識です。しかもそれを発展的にとらえ「KnollTextiles(ノルテキスタイル)」という高級な張地への裏付けまで持っています。これは、デザイナーの思いをさらに発展させることのできるイトーキの懐の深さだと思います。

同じくインタビューに「今の時代って、完成した商品をポンと渡して買ってもらうのではなく、その人のセンスや価値観で一緒にデザインに入り込んでもらって、自分のものにしてもらう必要があると思うんですね。」とあります。
吟味するということ。一度自分なりに分析する。検討する。つまりそれによりその選択・購入したものに思いがこもり、生命が宿るということなのではないかと思います。

ユーザーのライフ&ワークを豊かに

前述したように、バーテブラ03の進化は、従来のオフィスチェアの進化の概念からは逸脱しているのではないかと見えると思います。しかし、しっかりとオフィスチェアの新しい進化の方向性を示していると思います。初代からしてそうだったのですが、その先進性とイスという見立ての概念と具体的なディティールが高い次元で融合しているのではないかと思います。
本当に必要なもののみで無駄がないといえばそれまでですが、それぞれのパーツが奥深く機能しているということ。シンプルな姿を新しい機構と高級な素材が支えているのだと思います。それが在宅ワークという一つの空間を形成する核となり、ユーザーのライフ&ワークを豊かにする。そういうことをオシャレといってもいいのではないでしょうか。

蛇足ながら、購入を検討する方はご自分自身でもう一度このイスを自分なりに読み解き、さらにカスタマイズを楽しまれ、最適な一脚を検討されることをオススメしたいと思います。

代表的なショールーム

「ZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)」

イトーキは、完全予約制のコンシューマー向けチェアショールーム「ZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)」を東京京橋にオープンします。


同社によると、テレワークがあたらしい働き方として定着し、在宅ワーク環境について様々な課題が出てきたといいます。そこで「ZA SALON TOKYO(坐サロン 東京)」では、快適な「はたらく」をサポートするイトーキの人気チェアに座れる場を提供することで、顧客の最適なチェア選びを促進するとしています。
「ZA SALON TOKYO(坐サロン)」では、身体の動きにフレキシブルに順応し、デスクワークを快適にサポートする「アクトチェア」をはじめ、他のインテリアにも合わせやすいデザインで正しい着座姿勢に導くメカニズムを備えた「バーテブラ03チェア」などの人気チェアを用意しているといいます。ぜひ着座感、使用感を試してほしいとしてます。

ZA SALON TOKYO詳細

営業開始:2022年9月26日(月) 10:00から
開館時間:10:00~17:00 (要事前予約)
定休日 :火曜日、土曜日、日曜日、祝祭日
所在地 :東京都中央区京橋3-7-1 相互館110タワー 3階
     東京メトロ銀座線「京橋駅」より徒歩1分/都営浅草線「宝町駅」より徒歩2分

メーカー紹介

イトーキ

株式会社イトーキは、1890年に伊藤喜商店として創業。120年を超える歴史では、ゼニアイキ(金銭記録出納機)をはじめ、世の中にないものを生み出してきた、INNOVATIONの軌跡でもあるとしています。そして、原点の精神は変わることなく、受け継がれているとしています。
VALUE イトーキの価値提供
同社は、最先端の研究・開発を行い、新しい価値を創造し、オフィス空間をはじめ、公共施設や教育施設、医療福祉施設、パーソナル空間まで、これからのワークスタイルをサポートするとしています。

Vision Statement
人も活き活き、地球も生き生き 
Vibrant People, Beautiful Planet.

同社は、生き生きと持続する美しい地球と、そこで活き活きと活動する人びとが、互いに作用しながら織り成していく、躍動感ある未来を求めて企業活動を行っていくとしています。
活動の全ての領域において徹底的な環境配慮を続け、人びとの多様な価値観を受容する寛容さを持ち、創造的で豊かな、活力ある社会の実現を目指していくとしています。

Mission Statement
明日の「働く」を、デザインする。
We Design Tomorrow. We Design WORK-Style.

同社は、心と身体の健康を維持し、高い生産性を実現しながら、力強い創造性を発揮し、そして価値あるイノベーションを生み出していく、そういった、人びとの「働く」という活動を支援していくといいます。
同社は、常に「人」を中心に据えた思考を持ち、明日へとつながる、新鮮で価値ある、充実した「働く」をデザインし、顧客の働く「空間」「環境」「場」づくりを実践していくとしています。

イトーキのワークプレイス事業については、同社は、1890年の創業以来、ミッションステートメントに『明日の「働く」を、デザインする。』を掲げ、オフィス家具、物流機器、ICT・映像音響機器、建材内装設備など幅広いラインアップでさまざまな「空間」「環境」「場」づくりをサポートしてきたといいます。
コロナショック以降は働く空間全体を「働く環境」と捉え、ワーカーが"集合して働く"環境づくりのための製品・サービスのほか、在宅ワークや家庭学習のための家庭用家具などの"分散して働く"環境を支える商品、さらに企業の働き方戦略や働く環境整備のためのサーベイやコンサルティングサービスなどトータルで提供することで、あらゆる空間における「働く環境」づくりを支援しているとしています。

ここに記した説明は2022年9月時点のものです。より正確さを心掛けましたが、変更があったり、もし事実と違うことがありましてもご容赦いただきたく存じます。
また山人のコメントは実際に試座し、様々な場面で取材を通じて得た印象ではありますが、あくまでも主観的なものであり、また、体格差などもありますので、できるだけ試座をされ、あくまでもご自分でご判断ください。


(バーテブラ03の画像については株式会社イトーキ様のご協力をいただきました)

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