【オフィスとオフィスチェアを取り巻く現況について】
2021年の暮れに一旦縮小したコロナウイルスの感染状況が、オミクロンという変異株の出現によって、また不透明になっています。そのような状況下、一昨年からヴァーチャルで開催されることが多くなっていた新製品発表会や各種イベント、見本市が少しずつリアルでの開催になりつつあり、また、一方でオフィスにおいては、オフィスのライトサイジング化なども活発となり、ウイズコロナの動きは着実に進みつつあると思われます。
コロナ以前は、オフィスでは、よりコミュニケーションの活性化を図るために、ワーカーが積極的に働く場所を選択するというABW理論の下、オープンオフィスが積極的に提唱され、あらゆるワーカーが偶然、必然の出会いを、センターオフィスを中心としたワークスペースで行うことで気づきを得、そこから生まれるユニークな発想や技術の革新、新たな需要の創造などが期待されておりました。今となってはそれもすでに遠い過去の出来事のようにも思われますが、そのなかで新しいトレンドもまた変化を続けてきました。
その流れを受けオフィスチェアにおいては、コロナ以前のオープンオフィスの提唱時から、そのトレンドが、個人の固定席を対象とし個人の体格に合わせてきめ細かい調整を行うことができるハイエンドのタスクシーティング(いわゆるここで高級オフィスチェアと呼んでいるもの)から、ABW思想の進展による、誰でも座っただけで心地よく仕事やミーティングに移れるイスへ、また、タスクシーティングにおいてもワーカーの健康に資するイスへと需要の中心が移りつつあったと思います。ソロワークは管理部門は固定席、それ以外の人たちはそのオープンオフィスでノートPCやタブレットなどを使用したできるだけ短時間の着座ですませるワークスタイルになっていったのだと思います。
そのような折にコロナ禍が発生し、管理部門も非管理部門も在宅ワークを余儀なくされました。コロナ禍により一斉に在宅ワークが浸透し、ソロワークの部分は多くの人たちが自宅もしくはサテライトオフィスなどで行うということになりました。ところが、いままで仕事を家に持ち込み、そこで行うという習慣と環境を持たない日本においては、その間に合わせにダイニングチェアやeコマースで入手可能な安価なオフィスチェアを使用するという状態が現在も続いているのではないかと思います。Zoomなどの利用によるテレワークのスタイルはその在宅ワークに拍車をかけています。最早従来のセンターオフィスは必要ではなく、どうしてもリアルでなければならないミーティングや接客などに対して適切な広さと設えを持ったオフィスへのライトサイジング化が進んでいるのが現状であるといわれ、実際多くのオフィス家具メーカーはそのような需要を商機と捉え実績を上げています。
オフィスのあり方もおそらく、以前のような状況には戻ることはないのではないかといわれており、在宅ワークもまたある程度定着するのではないかと考えられます。
そのような在宅ワークの仕事の内容の中心となるのはZoomによる打ち合わせとソロワークだと考えられます。とりわけソロワークは着座時間が長く、また、自宅という狭い空間の中で行われる業務なので、より充実した座る環境が必要とされると思われます。つまり今後も従来のオフィスで行われていたソロワークの多くは在宅で行われるであろうということです。
ですから、在宅ワークにおいては場所がオフィスから自宅に移っただけで、充実したソロワークの環境整備の必要性が増していると考えられると思います。